2010年01月03日

入所者へのニオイケア 4

口腔ケアにおけるニオイケア

1)食べカスを取り除く
高齢者の口臭の大部分は、口の中の食べカスが原因である。口のニオイは食後の歯磨きやうがいなどの口腔ケアで大半は防げる。

食後の歯磨きは「食べたらすぐ」が原則である。口の中は温度が高いので、食後30分くらいで食べカスが発酵を始める。口臭対策という意味では、歯磨きでなくとも食後に口の中をゆすぐだけでも十分効果的である。その際、消臭作用のあるカテキンを含んだ濃いお茶でうがいをすると、より効果的である。
自分で歯磨きやうがいができない高齢者には、コップの水にお酢、イソジンガーグル、抗菌効果のあるハーブのテートリーを垂らしたものを用意し、そこに口腔ケアのための綿棒を浸してから口の中を拭くと、雑菌の繁殖を抑えることができる。その時、高齢者には目いっぱいの大口ではなく、半分くらい軽く口を開けてもらう方が、食べカスを取り除きやすい。脳梗塞の後遺症で麻痺がある人は、麻痺した側に食べカスがたまりやすいので、麻痺側の歯と頬の間を念入りにケアする。


2)舌苔を除去する
口臭ケアでは、舌のニオイも大切である。舌に付着する舌苔は、強いニオイの原因となる。特に胃腸の弱い高齢者は、舌苔ができやすい。

舌苔は、専用の舌ケア用具もあるが、スプーンの丸い縁でそっとこするだけでも十分除去できる。


3)唾液を分泌させる
生理的口臭の原因は、唾液の減少である。唾液は、最も強力な天然の消臭剤である。

高齢者は、唾液の分泌が減少し口が渇きやすく、しかも、抗コリン作用のある唾液の分泌を抑制する薬を服用していることが多いので、生理的な口臭が強くなりやすい。そのため、唾液を出すための「お口体操」も効果的である。食事の前に「パタカラ」と発音するだけで、唾液の分泌を促進できる。
また、最もよい唾液分泌法は、よくしゃべることである。黙々ではなく、楽しく会話をしながら食事をすることは口臭の予防ともなる。口臭ケアにとって沈黙は「金」ではなく、禁止の「禁」である。


4)口臭から病気を見付ける
口臭ケアで大切なことは、口臭が体の病気のサインにもなることである。特に高齢者が急に口臭が強くなったり、いつものニオイと異なる口臭がした場合には、何か体の中で病気が進行していることを疑うべきである。

例えば、口腔内の病気では、歯周病は最も大きな病的口臭の原因である。体内の病気では、糖尿病では甘酸っぱい口臭となり、肝臓や腎臓の病気ではアンモニア臭、呼吸器系の病気では腐った肉のようなニオイ、胃腸の病気では腐った卵のようなニオイがすることがある。
もちろん、このような病的口臭のケアは、原疾患の治療である。体のニオイは体の中の目撃者であり、体のニオイが健康のバロメーターになることも、介護者は理解するべきであろう。
 

引用・参考文献
1)五味常明,須藤章:イラスト版 介護・ニオイで困っていませんか.講談社,2001.


介護施設におけるニオイケア 2
入所者へのニオイケア
臨床老年介護2008年7・8月号

posted by 五味クリニック at 00:00| 介護施設のニオイケア