2015年11月20日

気になる介護時のニオイ、その消臭のコツ

口に出しにくい「介護時のニオイ」問題。なかでも一番頭を悩ますのは、尿失禁のニオイかもしれません。

「尿失禁のニオイの元はアンモニアです。消臭のポイントは、アンモニアのアルカリ性を中和することです」

こう説明してくれたのは、体臭治療や介護時のニオイ対策に詳しい五味クリニック院長・医学博士の五味常明(ごみ・つねあき)先生。手軽にできる介護時のニオイ対策についてお聞きしました。

「陰部を洗う石けんは弱酸性の石けんを使用し、下半身を拭くときは、洗面器のお湯にお酢やレモン汁をキャップ1杯ぐらい入れ、弱酸性にすると消臭効果があります。お酢はお風呂に入れるとアンモニア臭を抑えるので体臭予防にもなりますよ。入浴の直前に醸造酢ならおちょこに2〜3杯、黒酢なら1杯を入れるのが目安です」(五味先生 以下同)

衣類に吹きかけてニオイを吸収させる「経衣類消臭法」のスプレーを併用するのもいいそう。着る前の下着や眠る前の寝具に一吹きしておくだけなので、さりげなくニオイ対策ができます。

トイレや廊下などでの失禁したときのニオイも悩みの種に……。特に、畳やカーペットは、いったんニオイが染み付くと取れにくくなります。

「この場合も、尿素がアンモニアに分解される前にできるだけ早く拭き取ることが原則です。その際、濡れ雑巾に軽く『重曹』を吹きかけて尿を拭き取ると消臭につながります。尿を拭き取った後には、電子レンジで乾燥させたお茶殻(出がらし)を使用して掃除するといいでしょう。お茶のカテキンやタンニンがニオイ物質を吸い取ってくれます」

<お茶殻を使った掃除のポイント>
1. 畳やカーペットに、電子レンジで乾燥させたお茶殻をまく。
2. 30分ほどしたら掃除機をかける。
*掃除機をかけるときには床を軽くなでるようにかけ、ホウキで掃く場合はお茶殻を転がすように掃くのがコツ。フローリングの場合には湿ったお茶殻が適しています。



家のなかのニオイ対策はどうすれば?


最後に、家のなかのニオイ対策についてお聞きしました。市販の消臭剤や芳香剤を使用してもニオイが消えないときの対策はありますか?

「木酢液や竹酢液を水で薄めてスプレーしてみてください。木酢液や竹酢液は強い酸性の液体なので消臭や殺菌に役立ちます。最近はアンモニアのアルカリ性を中和させたり、尿素がアンモニアになるのを防いだりしてニオイを消す介護用の消臭剤も増えています。使用済みオムツを入れるバケツやポータブルトイレなどニオイの元になる場所などに使用するといいでしょう」

気になるニオイが消えると、介護する側もされる側も気持ちが前向きになれます。できることから試してみましょう。

SUUMO介護



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2013年05月28日

過度なダイエットが招くニオイ

 介護現場でも、今はダイエット志向の強い若い女性の介護スタッフが増えている。食生活で注意しなければならないことは、過度なダイエットはニオイをつくるということである。若い介護スタッフの中に、お米やパンなどの炭水化物を一切摂取せず、たんぱく質のみでダイエットをする人がいるが、このような偏食ダイエットも、ニオイをつくりやすいので注意が必要である。

 食事を抜いたり、1日に摂取するカロリーを極端に減らしたりすると、体内のエネルギー源である炭水化物やたんぱく質が不足してしまうため、貯蔵している中性脂肪を燃焼させてエネルギーを確保しようとする防御反応が起こる。この時、中性脂肪が脂肪酸に変化し、それが汗と一緒に排出されると、脂肪臭が発生する。この脂肪臭は、通常の汗のニオイよりも強いため、体臭の原因となってしまう。このように、無理なダイエットを続けると、体内で生成された疲労物質である乳酸がアンモニアと一緒に汗の中に出て、汗がアンモニア臭を発するようになる。

 さらにダイエットを続ければ、「ケトン臭」という甘酸っぱいニオイを発するようになる。ケトン臭は、「飢餓臭」とも呼ばれるもので、飢餓や糖尿病などで体内の糖分が不足した時に使われるエネルギーであるケトン体のニオイである。ケトン臭は、@口臭、A汗のニオイ、B尿のニオイの順番で強く出るが、ここまで来る前の脂肪臭やアンモニア臭の段階で間違ったダイエットをしているということに気づき、正しいダイエットに切り替えなければならない。



 バランスのよい食事 適度な運動 無理は禁物!! 悪臭の出ない正しいダイエットをしよう!!



五味常明著「体臭・口臭・便臭 ニオイ対策介護テクニック」(日総研)より
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2013年05月27日

体臭予防生活で健康的な無臭体質をつくる

 健康的な身体からは、本来、不快な悪臭は発生しない。「無臭体質」とは、健康的な生活から生まれるものである。ある消臭剤のメーカーによるニオイの意識調査では、「ニオイは職場での評価を左右する」と答えた人が80%以上にも上ったそうである。介護スタッフ自身が、健康的な無臭体質であれば、職場での評価が高くなると同時に、健康であれば、ニオイがなくなるだけではなく、仕事の効率も高まる。また、スタッフ自身の健康的な体臭予防生活の経験から、介護をする高齢者の生活面でのアドバイスも可能となる。

 無臭体質をつくるためには、まずは、食生活を改善することから始めよう。日頃、食べている食事の内容によって、体臭の質も決まるのである。



健康的な食生活を心がける



 野菜をあまり摂らずに肉などの動物性脂肪ばかりを摂っていると、油脂成分が皮脂腺や汗腺から多く分泌されるため、体臭が強くなる。動物性脂肪に偏ることなくバランスの良い食生活を送ることが重要である。

 また、ニラやニンニクなどのニオイが強い食品を摂り過ぎたり、コーヒーやたばこなどを摂取している場合も体臭が強くなるので注意が必要である。



ニオイを防ぐ食事



@食事は毎日3食規則的に食べるようにし、腹八分目を心掛ける。

A就寝前の2時間は何も食べないようにする。

B栄養バランスを考えてできるだけ多くの種類の食品を食べるようにする。 

Cなるべく堅いものや繊維質の多いものをよくかんで食べるようにする。

D熱過ぎず、冷た過ぎないものを食べるようにする。

E高タンパク・高脂肪の酸性食品を食べ過ぎないようにする。

Fカルシウム、カリウム、ナトリウムなどが多く含まれている緑黄色野菜を食べるようにする。

Gビタミンが含まれている食品をなるべく多く食べるようにする。

H塩分や糖分を控えて薄味のものを食べるようにする。

Iカップ麺などのインスタント食品や添加物の多く含まれた食品はあまり食べないようにする。

J葉野菜が多く含まれた青汁を飲む。

Kめかぶ、わかめ、もずくなどの海藻類をよく食べるようにする。

Lニラ、ニンニクなどニオイの強い食品はあまり食べないようにする。

Mコーヒーやたばこなどの刺激物を控える。

N天然醸造酢や梅肉エキスを摂取するようにする

O調理の際に使う油は、良質の植物油を使用する。









五味常明著「体臭・口臭・便臭 ニオイ対策介護テクニック」(日総研)より

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2013年05月26日

更年期に起こる多汗とニオイ

更年期に多汗になるワケ

 更年期を迎える女性の介護スタッフから「暑くもないのにやたらと汗が出て困る」「腋の汗が気になって仕事に集中できない」「ニオイが強くなった気がする」という訴えをよく聞く。更年期になると、女性ホルモンの分泌が低下する。それは、女性ホルモンには汗腺の調節機能があるため、うまく体温調節できなくなるからである。体温調節機能が低下することにより、手足は冷たいのに顔だけが火照り、滝のように汗をかいてしまうのである。

 さらに、ホルモンバランスの乱れから、不安やイライラなどの精神状態を引き起こすことが多くなるため、精神性発汗が多くなる。精神性発汗は、運動した時などに出る生理的発汗とは異なり、濃度が高く、ベタベタしている。蒸発しにくいので、さらに体温調節機能の働きが鈍くなり、いつまでも汗をかき続けるという悪循環に陥ってしまう。また、これらの汗には、アンモニアなどのニオイ物質が含まれているので、汗そのものがニオイを発しやすくなる。



日常生活の中でできる更年期の汗とニオイへの対策

 悪い汗が出るのを防ぐことは重要だが、更年期の多汗は防ぐことが難しい場合が多いので、逆に良い汗をかくようにするのが効果的である。

 良い汗をかくためには、まずは発汗を促すような運動を行うとよい。ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動が効果的である。特にストレッチでは、手足の血行が良くなるようなメニューを取り入れるとよい。

 多汗予防に入浴を活用する手もある。入浴は血流が良くなり発汗を促すので、ゆっくりお湯に浸かるだけでも、十分に多汗の予防になる。更年期による多汗症状が著しい場合は、「酢風呂」がおすすめである。

 熱めのお湯を洗面器に入れて、10〜15分程度手浴と足浴を行うだけでも、良い汗をたくさんかくことができる。

 また、良い汗をかきやすくする食べ物として、ショウガが挙げられる。手軽にショウガを摂取する方法としては、ショウガ湯がおすすめである。入浴後にショウガ湯を飲むと、さらに効果的である。逆に、冷たい飲みものは、血行を悪くして悪い汗を助長し、多汗がひどくなる原因になるので、摂り過ぎないように注意が必要である。



更年期の多汗の治療法

 あまりにもひどい多汗はストレスにつながり、それが原因で日常生活に支障が出る場合もある。その場合は、病院を受診することをおすすめする。一般的な多汗症では、形成外科やペインクリニックを受診するとよいが、更年期からくる多汗が疑われる時は、婦人科を受診するとよい。

 更年期からくる多汗は、ホルモンバランスの乱れが原因であることが多いので、ホルモンの状態を検査すれば、更年期からくる多汗かどうかが分かる。

 検査の結果、多汗の原因がホルモンバランスの乱れであると分かれば、医師と相談しながら更年期で減少した女性ホルモンをホルモン剤を投与して補充したり、漢方薬を処方したりしてもらう。中には、両方をバランスよく行うケースもある。いずれにしても、それぞれの治療法の効果や副作用をしっかり聞いて、自分に合った治療法を選択することが重要である。

 また、それらの治療法でも更年期の多汗が改善されない場合は、精神性発汗が考えられる。婦人科でも精神安定剤などの薬物を処方してもらえるが、それでも収まらない場合は、カウンセリングを受けたり、精神科を受診したりといった、心理療法を受けた方がよいケースもある。



ボトックスによる治療法

 ボトックス(ボツリヌス菌毒素A)は、ボツリヌス菌の毒素を完全に無毒化したもので、顔の筋肉の痙攣に対する治療法として使用されていたが、現在は、多汗にも応用されている。ボツリヌス菌毒素Aを腋の皮膚に注射すると、交感神経末端に結合して、発汗を刺激するアセチルコリンの分泌を抑制し、汗を抑えることができる。

 特に、腋の汗に効果的である。生活には全く支障がないので、動きの激しい介護スタッフの治療法として有効である。効果の持続時間はおよそ半年くらいであるが、一度の注射で汗が激減する人もいる。半年以上効果が持続するのは、一定期間汗が減った実体験が「安心感」や「自信」となって、精神性発汗の予期不安がなくなるためだと思われる。ボトックスは、汗だけではなく、ワキガのニオイにも効果的であるため、腋のニオイが気になる介護スタッフにも応用可能である。



一時的に汗を抑える方法

 人の体は、ある一部分が圧迫されると、その部分の汗が蒸発しにくくなるため、発汗量が減少する。その分、ほかの部分は多く汗をかくことになるが、その性質を利用して、特定の個所を一時的に汗をかきにくくする方法がある。

 例えば、顔の汗を抑えたい場合は、胸の5cm上辺りを両手でつねるか、親指で強く圧迫する。顔の汗を完全に止めることはできないが、刺激した部分から上の発汗を一時的に止めることが可能になる。

 女性の場合は、つねったり圧迫することが難しい状況であれば、ブラジャーのホックをいつもよりきつめにするとよい。

 下半身の汗を止めたい時は、左右の腰の辺りを両手でつねることで一時的にそこから下の汗を止めることができる。




五味常明著「体臭・口臭・便臭 ニオイ対策介護テクニック」(日総研)より
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2013年05月25日

頭と足のニオイケア

 介護スタッフ自身が気にするニオイに、頭と足のニオイがある。






 頭のニオイでは、特に長髪のスタッフが、失禁のニオイなどが髪に付着して、髪を洗ってもニオイが落ちないと悩む人が多いようです。頭髪は全体の表面積が大きいので、周囲の空気中のニオイを吸収しやすい。しかし、本来髪のキューティクルはガラスのように滑らかであるので、外気から吸収したニオイ分子はブラッシングをするだけで落とすことができる。ただし、髪の毛が傷んでいると、その部分にニオイ分子が強く付着してブラッシングだけでは取れにくくなる。そのため、髪のニオイを気にする人は、髪を洗い過ぎる傾向にある。



◎合成シャンプーに注意


 合成シャンプーに含まれる合成界面活性剤は、髪の毛を傷め、枝毛をつくりやすい。さらに、ドライヤーの熱風が髪のキューティクルを傷めるので、髪を洗うことでますますニオイ分子が付着しやすくなる。朝髪を洗う人は、よく乾燥させる時間がないと半乾きのまま出かけてしまうが、半乾きの髪はニオイ分子をさらに吸着やすい。



◎髪のニオイ対策


 介護の現場での髪のニオイ対策で最も有効なことは、髪を短くすることである。短くすることに抵抗がある人は、介護のケアの際、帽子やスカーフを頭に巻くと、ニオイの付着を予防できる。洗髪は夜、時間にゆとりのある時に行い、髪をできるだけ自然に乾燥させる。洗髪の際シャンプーに酸性のミョウバン水を加えて洗うと、尿失禁のアンモニア臭対策に有効である。

 また、天然のミネラル水に含まれるミネラルイオンは、ニオイ分子とイオン交換反応をして中和消臭するので、硬度の高いミネラル水にニガリを数滴加えた液をシャンプー後にスプレーするのも効果的である。





 

 靴を長時間履いたまま仕事をする人は、足のニオイが気になることが多い。特に、介護の仕事に慣れていない時期に、ストレス性の「精神性発汗」をすると、足のニオイが強くなりやすい。足のニオイは、足が汗でムレることで雑菌が繁殖すると強くなる。

 もし、家ではにおわないのに、職場ではにおうということであれば、仕事のストレスで発汗が促進されている可能性がある。足のニオイを気にすると、それがさらにストレスとなり、悪循環に陥りやすいので注意が必要である。まず、ストレスの原因を突き止め、精神的な負担を減らすようにする。



◎足のニオイ対策


 足のニオイ対策は、高齢者のケースと同じである。酢や木酢液、クエン酸などで足浴し、その際、細菌のエサとなる角質を除去する。



◎靴のニオイ対策も忘れずに


 介護スタッフの足のニオイ対策では、足だけではなく、靴のニオイ対策も大切である。長時間靴を履き続けることが足のムレを助長してニオイを強くするので、靴の防臭対策を同時に行う。

 靴は、一日履くと、足の汗がしみ込み、湿気となり、ニオイをため込む。そのため、一日履いた靴は、風通しの良い所で陰干しし、同じ靴を続けて履かないようにする。一日履いたら二日程度は休ませるのがよい。

 履かない靴には、使用済みの使い捨てカイロやお菓子の乾燥剤などを入れると除湿効果があり、靴のニオイも消臭できる。朝出かける前に防水スプレーをかけ、足の汗が靴にしみ込みにくくすると、ニオイ対策にもなる。

 仕事用の靴は、足のサイズに合った履きやすいものを選ぶ。サイズは大きくても小さくても、足が緊張して発汗が多くなる。ヒールはできるだけ低く、通気性の良い素材がよい。

 吸湿性の良いインナーソールをいくつか用意して一日ごとに取り替えるのも、効果的である。











五味常明著「体臭・口臭・便臭 ニオイ対策介護テクニック」(日総研)より
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2013年05月24日

皮脂腺からのニオイケア

 皮脂腺からのニオイの代表は「加齢臭」である。中高年になると、皮脂腺に9ヘキサデセン酸などの皮脂や脂肪酸がたまる。これらが、活性酸素や過酸化脂質で酸化されるとノネナールという脂肪酸となる。このノネナールが加齢臭の元である。「オヤジ臭」などと揶揄されるが、これは女性でも発生する。

 加齢臭は、男性では40〜60代で、女性では60代以上で強くなるといわれている。

 女性が60代以上でより強くなるのは、加齢により女性ホルモンが減少すると、相対的に皮脂腺の分泌を刺激する男性ホルモンが優位になるからである。したがって、皮脂腺の機能が低下し皮脂の分泌が減少する70歳以上の高齢者では、皮脂腺からの加齢臭は比較的弱くなり、むしろ汗から出る「加齢臭」が強くなる。汗から出る「加齢臭」は、老化により腸内環境が変化して腸内でニオイ分子が多く産生されることと関連している。



加齢臭が強くなったら生活習慣病を疑う



 ノネナールそのものは、年齢と共に誰にも発生する一種の加齢現象であるが、加齢臭が30代から発生したり、急にニオイが強くなったりした場合は、生活習慣病との関連性が疑われる。加齢臭の発生過程は、中高年になり血液に中性脂肪やコレステロールが増加し、活性酸素や過酸化脂質で酸化され、悪玉コレステロールがたまり、動脈硬化や高血圧、心筋梗塞へと進む生活習慣病と同じである。つまり、加齢臭には「メタボ臭」という側面がある。体から出るニオイは、体の中の健康のバロメーターでもある。介護スタッフの加齢臭が急に強くなったら、それは体内でメタボの状態が進行しているサインかもしれないので、体からの警告であると考え、健康に留意する必要がある。

 したがって、加齢臭の予防は当然、生活習慣病の予防と同じである。暴飲暴食を避け、運動不足、睡眠不足にならない、ストレスをためないなどが大切である。特にストレスは、活性酸素を増加して、皮脂を酸化するため、加齢臭の原因となりやすい。その場合は、職場の人間関係が良好かどうかを再考する必要がある。ニオイを気にし過ぎるのはストレスとなり、逆に加齢臭も強くなるので注意する。



体臭を気にし過ぎない



 体のニオイは、一種の「個性」である。加齢臭は、誰にでも生じる加齢現象であり、生きてきた証でもある。ニオイを気にするあまり過度な無臭志向になるのは、生きた証を否定することでもあり、自己否定ともなる。

 しかし、ニオイに無頓着になるのでもなく、また、ニオイに過度に神経質になるのでもなく、他人にニオイで迷惑をかけないようにする。あくまで、エチケットの範囲でのバランスのとれたニオイ対策を行うことが理想である。







五味常明著「体臭・口臭・便臭 ニオイ対策介護テクニック」(日総研)より
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2013年05月23日

エクリン汗腺からのニオイケア

汗のニオイ対策

 エクリン汗腺は全身に分布しており、体温調節に関わる汗腺である。エクリン汗腺のニオイは、通常の「汗のニオイ」と言ってよい。介護スタッフの仕事は、体を動かし、汗をかく機会が多いため、事務系のスタッフより汗のニオイケアをより必要とする。

 しかし、エクリン汗腺からの汗は本来かいた直後は無臭である。そのまま放置すると、皮膚面で細菌が繁殖して、垢や汗の成分を分解し「汗くさく」なる。

 したがって、エクリン汗腺のニオイ対策は、汗をかいたらこまめに拭くことである。ニオイ成分はほとんどが水溶性であるので、乾いたタオルより湿ったタオルで拭くとよい。より効果的な方法は、濃い目の緑茶を冷蔵庫で保管しておき、それを水で薄めてタオルに浸して拭くことである。同様に、濃い目のミョウバン水を作って冷蔵庫に保管しておき、水で薄めて利用したり、緑茶とミョウバン水を混ぜて、レモンを一個絞ったものをタオルに湿らせて汗を拭いたりしてもよい。緑茶のフラボノイドやカテキンには強い消臭作用があり、ミョウバンは制汗作用があり、レモンはさわやかな香りと殺菌作用がある。これらが相乗されて、体に優しいデオドラント効果が期待できる。

 夏場で大量の汗をかいた時に注意することは、乾いたタオルで汗を拭き過ぎないことである。汗は、皮膚面で蒸発することで体温を下げている。汗が蒸発する間もなく汗を拭き、皮膚を乾燥させると、汗の気化熱で体温が下がらないため、より多くの汗が出てくる。汗は、しっとりと皮膚が湿っている程度に拭くのがよい。



におう汗とにおわない汗

 夏場エアコンに依存し過ぎると、汗腺の機能が低下してニオイの強い汗をかくようになる。汗は、汗腺が血液を汲み取って、ほとんどの成分をいったん血管に濾過し、戻してから残りを汗として体外へ放出する。この「再吸収」という作用が、汗腺の重要な機能である。十分に再吸収された汗は、濃度の薄い水に近い、ニオイの少ない汗である。濃度が薄いので皮膚面で蒸発しやすく、より少ない汗の量で体温調節が可能である。これがいわゆる「良い汗」である。

 ところが、エアコンに依存し汗をかかない生活を続けると、この再吸収機能が低下して、血漿の成分を多く含む、濃度の濃いにおう汗をかくようになる。これは、ニオイの強い「悪い汗」である。



汗腺トレーニングで良い汗をかく

 介護の仕事の後は、当然のことながらお風呂で汗を流すのが最も効果的なニオイ対策である。汗をかいてしばらくすると、水分が蒸発して塩分が残る。塩分は湿気を吸う性質があるので、空気中の垢やほこりを吸い付けてしまうのである。そのため、汗をたくさんかいた後は、早めにお風呂で汗を流して皮膚を清潔にすることが大切である。また、髪の毛にはアンモニア臭が付きやすいので、中性か弱酸性のシャンプーで洗い流すとよい。

 エアコンに過度に依存し、汗をかき慣れていない場合は、積極的に発汗するための汗腺トレーニングをすることも必要となる。





五味常明著「体臭・口臭・便臭 ニオイ対策介護テクニック」(日総研)より
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2013年05月22日

アポクリン汗腺からのニオイケア

 汗腺には、全身に分布して体温調節をするエクリン汗腺と、腋などの局所に分布してニオイを出すアポクリン汗腺がある。

 腋のアポクリン汗腺からのニオイは、腋臭と言われる。一種の個性のニオイであり、病気ではない。ただ、日本人は腋臭の人の比率が少ないため、俗称で「ワキガ臭」と呼ばれる。

 腋臭は腋に分布するアポクリン汗腺の量に比例して強くなる。アポクリン汗腺の量は遺伝形質によって決まり、人によっても、人種によっても異なる。



腋臭の強さの推定法



 腋のアポクリン腺の量は耳垢の湿り具合に比例しており、耳垢が湿っている場合は、耳の外耳道に「耳導腺」というアポクリン汗腺の擬似汗腺があるため、相対的に腋のアポクリン汗腺の量とニオイの強さが推定できる。

 耳垢が「溶けたキャラメル状」の場合は、腋臭の可能性が高い。耳垢が湿性の人は、ABC11という遺伝子の部分の塩基配列が、グアニン−グアニン(GG)と並んでいる。この塩基の配列がグアニン−アデニン(GA)となると、耳垢の湿りが少なくなり、アデニンーアデニン(AA)と並ぶと、耳垢が乾燥した乾性の耳垢となる。



腋臭の予防



 アポクリン汗腺の大きさと分泌能は、性ホルモンの影響を受け、性ホルモンの分泌が低下する高齢者は次第にアポクリン汗腺が萎縮し、腋臭も減少する。したがって、介護の現場では、高齢者の腋臭より、若いスタッフの腋臭対策が必要となる。

 腋臭のニオイケアは、まず腋を清潔に保つことが基本である。ニオイ分子はすべて水溶性であるので、仕事で汗をかいたら湿ったタオルなどでこまめに拭くだけでも十分対策となる。ミョウバン水やエタノールなどで拭けば、雑菌の繁殖が抑えられ、さらに効果的である。

 腋の清潔を保った上で、市販のデオドラント剤をうまく利用するとよい。現在、さまざまな制汗・消臭剤が開発されている。デオドラント剤の正しい使い方は、「消臭剤の正しい使い方」、「デオドラント剤の正しい使い方」を参照してほしい。腋臭に対するデオドラント剤の使用で大切なことは、自分のニオイの強さに合った製品を使用することである。



自分のニオイの強さを知る



 自分のニオイの強さは、嗅覚が順応して分からなくなることが多いので、耳垢の湿り具合で、客観的自己判定が可能である。

 まず、耳垢を掃除する時に、綿棒を見てみる。溶けたキャラメル状の場合は「強度」、綿棒に湿り気がある場合は「軽度〜中等度」、パサパサで乾いている場合は「非ワキガ」と判定する。

 強度であるなら、塩化ベンザルコニウムなどの殺菌剤の含まれた制汗剤を使用してもよい。軽度から中等度なら、イソプロピルメチルフェノールや銀などの殺菌剤を含む製品が適している。非ワキガの場合は、殺菌剤を含んだ制汗剤ではなく、植物性の製品を使用する。ウエットティッシュで拭くだけでも十分である。








デオドラント剤の正しい使い方



 デオドラント剤は、仕事をする前の汗をかいていない状態で塗布し、仕事中に追加する場合は、汗をよく拭いてから使用するとよい。腋に直接スプレーできない状態なら、衣類に直接スプレーするタイプの消臭剤を衣類に塗布してもよい。

 デオドラント剤を使用してもなおニオイが強い場合や、腋臭に対する悩みが強い場合は、手術の適応となる。腋臭の原因となるアポクリン汗腺は、腋の皮下に「イクラの卵状」に存在しているので、アポクリン腺を手術で完全に取り除くことが可能である。近年、腋臭で悩む若い介護スタッフが増加しているが、腋臭は完治することを知ることが自信となる。







多汗の予防



 ニオイだけでなく、腋の多汗が気になる人も多い。腋臭の場合の多汗は、腋臭対策に順ずる。耳垢が湿っていない人で腋汗が多い場合には、精神性発汗が原因である。精神性発汗は、汗を抑えようとするとさらに増加するので、まず、汗を気にしないように開き直ることが大切である。

 腋の汗が介護の仕事に影響するようであれば、塩化アルミニウムを含んだ制汗剤を使用するのもよい。

 また、ボトックスの局所注射も有効である。ボトックスは、ボツリヌス菌の分泌液を無毒化したものである。汗の分泌を促進するアセチルコリンの分泌を神経末端で抑制することで汗を抑えることができる。効果の持続期間は半年くらいであるが、汗が減少したという事実で安心できる場合は、永続的に汗が減ることもある。








五味常明著「体臭・口臭・便臭 ニオイ対策介護テクニック」(日総研)より
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2013年05月20日

働く介護スタッフの「疲労臭」に注意

 ある消臭剤のメーカーが、2011年に20〜39歳の働いている女性約500人を対象に、職場における「ニオイ」調査を行った。その結果、女性の8割が「ニオイは職場での評判を左右する」と答えていた。また、90%以上の人が「不快なニオイはビジネス上のマナー違反である」と思っており、6割以上の女性が「職場で男性社員のニオイを不快に感じることがある」と回答している。さらに、「仕事をしていて不快に感じる男性社員のニオイ」の種類では、70%以上が「汗のニオイ」と答え、その後は「加齢臭(58%)」「腋のニオイ(40%)」「頭のニオイ(33%)」「足のニオイ(17%)」と続いている。

 近年、介護や看護現場にも男性スタッフが増加しており、ビジネスマンだけでなく、介護施設で働く男性スタッフも、身だしなみだけでなく、ニオイに気を配ることが求められる時代になっている。

 女性が最も不快に感じる、「汗のニオイ」は、汗をこまめに拭いたり、制汗剤を使用することで対処可能である。ところが、制汗剤をいくら身体に塗布しても消臭できないニオイがある。体のニオイには、皮膚の表面で雑菌が繁殖して発生する「汗くさいニオイ」と、体の中から汗と共に直接出るニオイがある。前者には制汗剤が有効であるが、体から直接出るニオイは、制汗剤を塗布しても消臭できない。これが、「疲労臭」と呼ばれるアンモニアのニオイである。







疲労臭が産生される仕組み



 毎日摂取されているタンパク質は、最終的にはアミノ酸に分解され、脱アミノ化されてアンモニアとなる。激しい運動や疲労時には、このアンモニアの血中濃度が特に高くなる。アンモニアは毒性が強いので、肝臓の尿素回路(オルニチン回路)によって毒性の少ない尿素に合成され、尿として体外に排泄される。ところが、過度の疲労によってアンモニアの血中濃度が高くなったり、疲労によりエネルギーの産生を行うTCA回路の働きが悪くなったりすると、尿素回路の代謝が悪くなり、血中のアンモニア濃度が高まり、汗からの排出量が多くなる。

 アンモニアは、筋肉運動で産生される疲労物質の乳酸が増えると、汗と共に排出量が増える傾向があるので、特に筋肉を酷使する動作の多い介護スタッフは、疲労臭が出やすい職種と言える。アルコール摂取の多い男性スタッフは、肝臓の機能が低下して、オルニチン回路での代謝が悪くなりやすいので、それだけ疲労臭が出やすくなる。



疲労臭の予防



 疲労臭の予防は、できるだけ疲労を翌日まで残さないことである。一日の終わりには、入浴で疲労物質の乳酸を排出するようにし、有酸素運動や汗腺トレーニングで汗腺の機能を高めることも有効である。

 食事では、乳酸を排出する作用のあるクエン酸(酢)を摂取する。同時に、アンモニアを代謝するオルニチン回路の入り口にあたるオルニチンを十分摂取するのがよい。

 オルニチンの多く含まれた食材としては、シジミがある。翌日、前日の疲労が残っているようなら、シジミの味噌汁を飲んで出勤するとよいだろう。







五味常明著「体臭・口臭・便臭 ニオイ対策介護テクニック」(日総研)より
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スタッフ自身のニオイケア―自分のニオイに悩んでいては良い仕事はできない

 高齢者や施設環境のニオイケアのみが介護のニオイケアではない。介護現場のニオイは、高齢者と介護者の双方が出すニオイが総合されたものである。入所者のニオイケアばかりを行って、介護者自身がニオイを出しているのでは本末転倒である。

 対人接客業としての介護業務では、介護者自身が高齢者を不快にさせないような自身のニオイ対策も介護のエチケットと言えるだろう。

 介護スタッフ自身のニオイケアで最も大切な点は、自分自身のニオイ対策をすることで自信を持って仕事に励むことができるということである。介護の仕事は、高齢者の移乗、移動、排泄、入浴などの介助で体を接することが多く、スタッフ自身が体のニオイで悩んでいる場合は、積極的に介護の仕事に打ち込むことはできない。ニオイをケアすることで自信を回復し、前向きな生き方ができれば、仕事への意欲も高まる。介護スタッフ自身のニオイケアは、そのような意味で、個人の問題だけではなく職場全体の仕事の効率を高めることにもなる。

 体から出るニオイには、発生器官別に、アポクリン腺、エクリン腺、皮脂腺がある。ここでは、発生器官別にニオイの原因と対策を説明する。









五味常明著「体臭・口臭・便臭 ニオイ対策介護テクニック」(日総研)より
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